
仕事上の付き合いとして、取引先の相手をもてなす「接待」。接待で使われる費用は、経費として計上することが認められています。そして、接待ではタクシー代といった「交通費」も発生するものです。
このような接待時の交通費について、勘定科目を「交際費」か「交通費」で迷うという方も多いでしょう。今回は、そんな疑問を持つ方のために、接待時の交通費について解説します。
注)本記事の内容は2018年5月執筆時点の情報です。詳細は専門家等に確認のうえご判断ください。
「交際費」or「交通費」
接待時の交通費は、勘定科目として「交際費」か「交通費」のどちらに当たるのでしょうか。
実は、「どちらの場合もある」というのが正解で、「交際費として計上するのが適当となるケース」と「交通費として計上するのが適当となるケース」があります。
それでは、具体的にそれぞれどのようなケースなのかをご紹介しましょう。
「交際費」となるケース
接待時の交通費を、勘定科目「交際費」として計上できるのは、以下のようなケースです。
- 自社で催す懇親会において、取引先の方を送迎するのに利用したタクシー代
- 自社で催す懇親会において、自社の社員が接待先の往復に利用したタクシー代
交際費となるケースは、基本的に「接待をする側」で発生します。接待する側であれば、自社の社員であろうと他社の社員であろうと、接待にかかった交通費は交際費となるわけです。
接待をするのに要した交通費は「交際費」
税務上の交際費は「接待に必要な交通費も含む」ということを覚えておきましょう。接待をする側で発生した交通費がどちらか迷ったら、単純に「接待がなければ支出されなかったかどうか」を考えると判断できるでしょう。
「交通費」となるケース
接待時の交通費を、勘定項目「交通費」として計上できるのは、以下のようなケースです。
- 取引先が催す懇親会へ参加するために、自社の社員を送迎するのに利用したタクシー代
- 接待ではない業務を行うために、取引先の方を送迎するのに利用したタクシー代
このように、「接待される側」であれば基本的に交通費となります。また、接待ではない場合にはいくら他社の社員を送迎しようと交通費扱いです。
「渡し切り交際費」について
接待の現場では「渡し切り交際費」というワードを耳にすることもあるでしょう。渡し切り交際費とは、簡単にいうと「支払いの証明を必要としない交際費」のことです。接待で発生した費用のうち、証明となる領収書が不要なものとはどのような費用なのでしょうか。
接待の相手に渡すタクシー代
わかりやすい例を出すと「接待した相手が帰る際に、タクシー代として現金を渡す」といったケースが当てはまります。このようなケースでは、タクシーを降りる際には運転手と取引先の方だけになるので、領収書をもらうのは難しいでしょう。接待の現場でのこうしたタクシー代は、「渡し切り交際費」として処理するということを押さえておきましょう。
渡し切り交際費は「給与」扱い
渡し切り交際費という名前ですが、経費としての「交際費」にはなりません。実は、渡し切り交際費は「給与」扱いになります。なぜなら、渡し切り交際費として多めに渡した現金のうち、いくら交通費として使われたのかもわからず、おつりは渡された個人の懐へ入るためです。
用途も金額もはっきりしないお金は、経費として処理できません。このような理由から、渡し切り交際費は、給与扱いになるのです。
渡し切り交際費は社員が「損」をする
渡し切り交際費が給与扱いになるということは、対象の社員はその分所得税も増えてしまいます。しかし、実際には取引先に渡すお金ですので、給与が増えているわけではありません。そのため、渡し切り交際費を申請した社員は損なのです。
社員が損してしまうのを避けるために、なるべく渡し切り交際費が出ないような運用ルールを検討してみましょう。
ルールに従って細かく計上を
一般的な交通費に比べ、タクシー代は大きな金額となりやすい費用です。そのため、税務調査の際にしっかりチェックされると考えてよいでしょう。
特に交際費は、資本金の額によって上限が存在します。もしも、間違った計上をしていた場合には追徴課税となるかもしれません。そうならないためにも、ルールに従って細かく計上しておきましょう。
効率的に交通費精算できる経費精算システム
SBIビジネス・ソリューションズ株式会社が提供する「経費BANK」は、経路検索システム「駅すぱあと」との連携により、検索した経路・運賃から効率的に交通費を申請できる経費精算システムです。
あらかじめ登録した定期区間の運賃が自動的に控除されるため、運賃の過払いや不正申請を防止することができます。この機会にぜひ、「経費BANK」で経費精算業務を効率化してみませんか?
