2019.01.18
会社の利益は「売上高」「費用」を引いたもので、利益がプラスなら黒字、マイナスなら赤字となります。そして、黒字でも赤字でもなく、会社の収支がプラスマイナス0となる点を会計用語で「損益分岐点」と呼びます。この損益分岐点を把握し、対策を練るために行われる手法が「損益分岐点分析」です。
今回は会社の状況を把握し、数値目標を明確にするために必要不可欠な「損益分岐点分析」について解説します。
目次
「損益分岐点」とは、儲けである「売上高」と、そのためにかかった「費用」との収支がちょうど0になる点のことです。企業の利益は「売上高」と「費用」のバランスで決まります。売上高が上回れば利益は黒字となり、逆に費用が上回れば利益は赤字となるわけです。
損益分岐点は、黒字でも赤字でもなく、利益が0になるポイントのことを指します。
その「損益分岐点」がどこにあるかを知り、分析するのが「損益分岐点分析(CVP分析)」と呼ばれる手法です。先ほどは「売上高」と「費用」だけで解説しましたが、実際はもう少し複雑になります。
それでは、損益分岐点は会社にとってなぜ必要なのかを説明しましょう。そもそも会社というのは、お金を稼ぐために設立されます。つまり、より多くの利益を上げることが会社の目的です。利益を上げなければ会社として存続が危ぶまれます。したがって、利益が0の損益分岐点は、会社にとって「上回る必要があるポイント」なのです。
損益分岐点分析は経営戦略を練ったり、売上目標を設定したりする際に用いられます。例えば「利益を黒字にするためには最低いくつ商品を売らなければならないか」や「どれくらい経費を抑えれば赤字にならないか」などを把握するのに便利です。売上目標や削減目標を明確に設定するためにも、損益分岐点分析は不可欠だといえます。
損益分岐点の計算方法を解説しましょう。損益分岐点は、管理会計では「損益分岐点売上高」のことを指します。つまり、「利益が0になる売上高」のことです。損益分岐点売上高の公式は以下のとおりです。
損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ { 1 - ( 変動費 ÷ 売上高 ) }
この公式について、詳しく解説していきます。
まず、費用は大きく「変動費」と「固定費」に分けられます。変動費とは「売上の増減に比例する費用」のことで、原材料費や販売手数料などのことです。逆に固定費とは「売上の増減に関係なく発生する費用」のことで、家賃や保険料などが該当します。
売上高から変動費と固定費を引いたものが、利益になります。
利益 = 売上高 - 変動費 - 固定費
次に、「変動費率」について解説しましょう。変動費率とは、「売上に占める変動費の割合」です。したがって、以下の式により導き出されます。
変動費率 = 変動費 ÷ 売上高
そしてこの式を変形すると、以下の式が成り立ちます。
変動費 = 変動費率 × 売上高
この式を先ほど解説した利益の公式に代入すると、以下の式が導き出されます。
利益 = 売上高 - 変動費率 × 売上高 - 固定費
この式では「売上高」が2つ登場しているため、売上高を1つにするために売上高でくくると、以下の式となります。
利益 = 売上高 ( 1 - 変動費率 ) - 固定費
ここで、「損益分岐点売上高」を当てはめてみましょう。「損益分岐点売上高」とは「利益が0になる売上高」のことなので、利益に0を置き、売上高を「損益分岐点売上高」に書き換えましょう。そうすると以下の式となります。
0 = 損益分岐点売上高( 1 - 変動費率 ) - 固定費
この式から、右辺が「損益分岐点売上高」だけになるようにしてみましょう。固定費を移項し、両辺を「( 1 - 変動費率 )」で割ります。そうすると以下の式になります。
固定費 ÷ { 1 -( 変動費 ÷ 売上高 ) } = 損益分岐点売上高
以上のことから、最終的には「 損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ { 1 -( 変動費 ÷ 売上高 ) } 」という公式が成り立ちます。
損益分岐点の計算方法が分かったところで、次はその後の対応について解説します。損益分岐点売上高が分かれば、前年度の実績や景気の状況などから、黒字になりそうなのか赤字になりそうなのかが把握できるはずです。
大幅な黒字になりそうなら、ひとまず安心だといえます。一方、損益分岐点ギリギリの場合は、たとえ黒字でも安心できないでしょう。その場合は対策が必要です。
赤字になりそうであれば、会社にとっては深刻な状況です。すぐに対策を練りましょう。
それでは対策としてはどのような方法があるのかをご紹介しましょう。利益を増やすには、損益分岐点を下げなければなりません。損益分岐点を下げる方法としては、以下が挙げられます。
テナント賃料の値下げ交渉を行ったり、引っ越しを検討したりしてみましょう。また、ガスや電気料金のプランを変更することで節約できることもあります。そのほか、システムの導入やアウトソーシングの利用なども考えてみてください。
変動費のなかで主要なものは原材料費だといえます。原材料の価格交渉を行ったり、ほかに安い仕入先がないかを探したりしてみましょう。
販売価格を上げれば、当然ですが利益は増えます。ただし実際はそう単純な話ではなく、販売価格が上がればそのぶん売れにくくなるでしょう。競合や品質なども考慮しつつ、バランスの良い販売価格を検討することが大切です。
会社の利益は多いことに越したことはありません。ただ、売上の目標が「とにかく売上アップ!」のように漠然としていたり、現実的ではない数値だったりしていては、達成のためのモチベーションがなかなか上がらないことも多いでしょう。より具体的で現実的な数値目標を設定したり、売上と費用のバランスを把握したりするためにも、ぜひ損益分岐点分析を活用してください。
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