2019.09.12
5万円以上のレシートや請求書、不動産の売買契約書等に添付する収入印紙は、「租税公課」という勘定科目を使って処理するのが一般的です。ただし、収入印紙を購入してすぐに使わない場合は、租税公課ではなく「貯蔵品」として計上することもあります。
この記事では、収入印紙を処理する際の勘定科目や、計上時の注意点について解説していきます。
注)本記事の内容は2019年9月執筆時点の情報です。詳細は専門家等に確認のうえご判断ください。
目次
収入印紙とは、主に5万円以上の金銭的取引をする際、納税のために書類に貼付する証票です。民法上では口約束も立派な契約として扱われますが、ある程度大きな金額の取引をする際は、トラブルを避けるために書面で契約を交わすことがほとんどです。
しかし、取引に関する書類を作っただけでは、内容や取引額に関する保証がありません。そこで、取引の内容、つまり「いくらの取引をするのか」を国に保証してもらう代わりに、一定額の納税をする「印紙税」という仕組みがあるのです。
収入印紙は、印紙税を納める目的で、契約書や領収書などの課税文書に貼付します。勘定科目には、税金関連の支払いをしたときに使う「租税公課」という勘定科目があるため、「租税公課」で仕訳しましょう。
収入印紙を貼る必要のある書類にはいくつか種類がありますが、納税目的ならすべて「租税公課」で処理して構いません。また、基本的には「書類に収入印紙を貼ったとき」ではなく、「収入印紙を購入したとき」に「租税公課」として処理します。
収入印紙を添付しなければならない書類(課税文書)の中で、代表的なものは以下の通りです。
上記の書類の他にも、「継続的取引の基本となる契約書」や「金銭または有価証券の受取書」「定款」など、印紙税法では全部で20種類の書面を課税文書としています。課税文書の種類や取引額によって必要な印紙税の納税額も変わるため、収入印紙を使う場合は過不足が出ないよう注意しましょう。
課税文書に該当するかどうかや、各課税文書ごとの印紙税額については、国税庁のホームページ『No.7100 課税文書に該当するかどうかの判断』で確認することができます。
収入印紙をまとめ買いしておいて、必要になったときに使う場合は、購入時に「租税公課」として処理するのではなく、「貯蔵品」という勘定科目を使って処理しましょう。
不動産会社など、日常的に収入印紙を多用する業種の場合、書類を作るたびに最寄りのコンビニ等で収入印紙を購入するのは非効率です。収入印紙を買い置きするのも不自然なことではありません。
こういった場合、一旦「貯蔵品」勘定で収入印紙をプールしておき、実際に書類へ収入印紙を貼ったときに「貯蔵品」から「租税公課」へ振り替えます。
また、購入時に「租税公課」として処理してしまい、年度末の決算時点で残っている収入印紙を「貯蔵品」にするという処理も可能です。
「租税公課」として計上される収入印紙ですが、管理と消費税の仕訳に注意しておく必要があります。特にたびたび収入印紙を扱う不動産業者はしっかりと、この注意点を押さえておきましょう。
課税文書ではない文書に収入印紙を貼付したり、収入印紙を必要以上に多く貼ったりするのは、経費の無駄使いです。特に、収入印紙を買い置きして「租税公課」として処理する場合、「実際に何枚収入印紙を使ったのか」を把握しづらいため誤差が出やすいというデメリットがあります。
収入印紙の使用頻度が高い場合は、「何枚買ってどの書類を何枚使ったのか」を細かく記録しましょう。
通常、収入印紙をコンビニや郵便局、役所等で購入する場合、消費税はかかりません。しかし、金券ショップだと本体価格とは別に消費税がかかります。
定価200円の収入印紙を180円で購入する場合、実際には166円の本体価格に14円の消費税が上乗せされているわけです。そのため、金券ショップで収入印紙を購入したら、「租税公課166円」「仮払消費税14円」という仕訳をする必要があります。
注)2019年9月執筆時点の税率で記載しています。
金券ショップで収入印紙をまとめ買いし、一旦貯蔵品勘定で処理した場合、「租税公課」に計上する際の計算が複雑になるので注意しましょう。
1枚180円の収入印紙を金券ショップで20枚購入した場合、購入時の経理は、「貯蔵品3,333円」「仮払消費税267円」です。後日額面600円分、つまり収入印紙3枚を使った場合、貯蔵品から「租税公課」へ振り替える金額は、
本体価格3,333円 ÷ 購入数20枚 × 使用数3枚 ≒ 500円
という計算を行います。
注)2019年9月執筆時点の税率で記載しています。
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