公開日:2026.10.29 税理士監修
経費精算システムと会計システムは、どちらも経理業務で使うシステムであるため、混同されることがよくあります。
経費精算システムは経費の申請・承認・精算などを効率化するもので、会計システムは会社の売上や経費などを記録・管理し、帳簿や決算書を作成するものです。それぞれ役割が異なるため、経費精算の件数や業務負担によっては、両方を組み合わせた利用が効果的です。
本記事では、それぞれのシステムが担う業務の範囲を確認したうえで違いを比較し、企業の状況に応じた使い分けを解説します。さらに、両システムを連携するメリットや具体的な連携方法、連携時の注意点も紹介します。
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おすすめポイント
目次
経費精算システムとは、従業員による経費の申請から承認、精算までの一連の業務を効率化するシステムです。経費の利用日や金額、支払い先や用途などの情報を申請ごとに管理し、多くの製品では、会計システムに連携する仕訳データや従業員への振込に必要なデータを作成することができます。
<経費精算システムの主な機能>
このように、経費の申請・承認・精算に関する一連の業務をシステム上で行うことができます。また、経費を申請する従業員や承認する管理職も日常的に利用するなど、経理部門以外でも利用されるという点が、会計システムとの大きな違いです。
会計システムとは、会社の売上や経費などを記録・管理し、帳簿や決算書を作成するためのシステムです。会計ソフトとも呼ばれます。
会計処理では、売上や経費などを勘定科目ごとに分類して記録する「仕訳」という作業を行います。会計システムには、この仕訳を管理する機能をはじめ、次のような機能があります。
<会計システムの主な機能>
経費精算システムが主に従業員の経費申請に関する情報を扱うのに対し、会計システムでは、経費だけでなく、売上や仕入、給与など、会社全体の幅広い取引を管理します。
主に利用するのは、経理担当者や会計事務所の担当者などです。経費精算システムとは異なり、一般の従業員が日常的に利用することは多くありません。
経費精算システムと会計システムの違いには、以下のようなものがあります。
| 経費精算システム | 会計システム | |
|---|---|---|
| 目的 | 経費の申請と承認を正確かつスピーディーに進める | 会計帳簿と決算書を正確に作る |
| 業務範囲 | 経費の申請・承認・精算、仕訳データの作成など | 仕訳の登録・管理、帳簿・決算書の作成など |
| 主に使う人 | 従業員・承認者・経理担当者 | 経理担当者・会計事務所の担当者 |
| 扱うデータ | 経費申請1件ごとの明細情報や証憑データ | 会社全体の仕訳と勘定科目残高 |
経費精算システムは、経費の申請・承認・精算をスムーズに進め、従業員や経理担当者の業務負担を減らすために利用されます。
一方で会計システムは、会社のお金の状況や業績を正確に把握し、帳簿や決算書を作成するために利用されます。
経費精算システムは、主に従業員の経費申請から承認、精算までの業務を担います。一方、会計システムは、経費を含む会社全体の取引を記録し、帳簿や決算書を作成する役割を担います。
両システムを連携する場合は、経費精算システムで承認された申請内容をもとに仕訳データを作成し、会計システムに取り込むのが一般的です。
例えば、次のような流れになります。

このように、経費精算システムと会計システムは、それぞれ異なる工程を担いながら、連携して経理業務を支えています。
経費精算システムは、経費を申請する従業員や承認する管理職、経理担当者など、さまざまな立場の人が利用します。そのため、経理の専門知識がなくても操作しやすいことが重要です。
一方、会計システムは経理担当者や会計事務所の担当者などが中心となって利用します。一般の従業員が日常的に操作する機会は多くありません。
経費精算システムでは、経費の申請1件ごとに、利用日や金額、支払先、用途、領収書などの情報を管理します。
一方、会計システムでは、勘定科目ごとの金額や残高など、会社全体の会計情報を管理します。
経費精算システムと会計システムは役割が異なりますが、すべての企業で両方を導入する必要があるわけではありません。従業員数や経費申請の件数、経理業務の負担などによって、適した利用方法は異なります。
ここでは、会計システムだけを利用するケースと、経費精算システムを併用するケースについて解説します。
従業員数が少なく、経費の申請件数も少ない企業では、経費精算システムを導入せず、会計システムだけで運用しているケースもあります。
例えば、経費の発生が月に数件程度であれば、紙やExcelなどで申請内容を管理し、経理担当者が会計システムに直接入力する方法でも対応できるでしょう。
このように、経費の申請・承認や会計システムへの入力に大きな負担がかかっていない場合は、経費精算システムを別途導入しなくても、経理業務を円滑に進められることがあります。
従業員数や経費の申請件数が増え、経費精算業務の負担が大きくなっている場合は、経費精算システムと会計システムの併用が効果的です。
例えば、次のような状況が挙げられます。
こうした場合、経費精算システムを導入することで、経費の申請・承認から精算までの業務を効率化できます。さらに、会計システムと連携させれば、仕訳データの転記作業も削減でき、経理担当者の負担軽減につながります。
ここでは、両システムを連携することで得られる主なメリットを紹介します。
経費精算システムと会計システムを連携していない場合、経理担当者は承認済みの経費申請を確認し、金額や日付などの情報を会計システムへ手入力する必要があります。この作業には時間がかかるだけでなく、金額の入力間違いや転記漏れなどのミスが発生する可能性もあります。
一方、両システムを連携させれば、経費精算システムで作成した仕訳データを会計システムに取り込めるため、同じ情報を入力し直す手間が省けます。これにより、経理担当者の作業時間を削減するとともに、手入力によるミスの防止にもつながります。
経費を会計システムに登録する際には、交通費や消耗品費など、経費の内容に応じて適切な勘定科目を判断し、仕訳を作成する必要があります。これらを経理担当者が1件ずつ行う場合、経費申請の件数が増えるほど作業負担も大きくなります。
多くの経費精算システムには、あらかじめ設定したルールに基づいて勘定科目を自動で割り当て、仕訳データを作成する機能があります。最近では、AIが経費の内容から勘定科目を推測する機能を備えた製品も登場しています。
こうした機能を活用することで、経理担当者による勘定科目の判断や仕訳作成の手間を減らすことができます。さらに、作成された仕訳データを会計システムへ連携すれば、経費精算から会計処理までの業務を効率化できます。
経費精算システムでは、経費の申請内容と領収書などの証憑を紐づけて管理できます。そのため、経理担当者が経費の詳細を確認したい場合も、紙の申請書や領収書を探すことなく、システム上で必要な情報を確認できます。
さらに、会計システムとの連携によって仕訳データと元の申請情報を紐づけられる場合は、会計処理後も経費の内容や証憑をたどりやすくなります。これにより、仕訳内容の確認や監査・税務調査への対応もスムーズに進められます。
経費精算システムと会計システムを連携する方法には、主にCSV連携とAPI連携があります。それぞれ仕組みや特徴が異なるため、自社の業務に合った方法を選ぶことが大切です。
| 項目 | CSV連携 | API連携 |
|---|---|---|
| 仕組み | CSVファイルを出力し、会計システムへ取り込む。 | システム間でデータを直接受け渡す。 |
| 作業 | ファイルの出力・取り込みが必要。 | ファイルの出力・取り込み作業を省略できる。 |
| 対応範囲 | CSV取り込みに対応する会計システムで利用可能(形式の調整が必要な場合あり)。 | API連携に対応する製品の組み合わせに限られる。 |
| 向いているケース | 定期的にまとめて仕訳データを取り込む場合。 | 仕訳データをこまめに連携したい場合や、連携操作の手間を減らしたい場合。 |
経費精算システムから仕訳データをCSVファイルとして出力し、会計システムに取り込む方法です。多くの会計システムがCSVの取り込みに対応しており、比較的幅広い製品の組み合わせで利用できます。ただし、会計システムが求める項目やファイル形式に合わせて、出力設定などの調整が必要になる場合があります。
また、ファイルの出力と取り込み操作が必要なため、月次など決まったタイミングでまとめて会計処理を行う場合に向いています。
API連携は、経費精算システムと会計システムを連携し、直接データを受け渡す方法です。CSVファイルの出力・取り込みを行う必要がなく、製品によっては自動でデータを連携することもできます。そのため、仕訳データをこまめに会計システムに反映したい場合でも、ファイルの出力・取り込みの手間を抑えられます。
ただし、API連携は、製品同士が連携できる仕組みが用意されている場合に限られます。そのため、利用したい経費精算システムと会計システムの組み合わせがAPI連携に対応しているか、また、希望する頻度やタイミングでデータを連携できるかを事前に確認する必要があります。
経費精算システムと会計システムを連携する際は、次の3つの点に注意しましょう。
経費精算システムで使用する経費区分と、会計システムの勘定科目・補助科目を紐づけ、経費の種類に応じて適切な仕訳データが作成されるように設定します。
設定の前に、会計システム側の勘定科目と補助科目の一覧を用意し、経費の種類ごとにどの科目を使うのかを決めておきましょう。
経費精算システムと会計システムを連携する際は、仕訳をどの日付で計上するかというルールを確認しておく必要があります。
例えば、経費が発生した月と申請・承認された月が異なる場合、計上日の設定によっては、実際に経費が発生した月とは別の月に計上されてしまうことがあります。
そのため、会社の会計処理のルールに沿って適切な計上日を設定し、両システムで整合性が取れるようにしておきましょう。
経費精算システムと会計システムを連携する際は、同じ経費を二重に計上しないよう注意が必要です。
例えば、法人クレジットカードの利用明細を会計システムへ取り込んでいる場合、経費精算システムからも同じ経費の仕訳データを連携すると、二重に費用計上されてしまう可能性があります。
こうした重複を防ぐため、どのシステムから経費を計上するかをあらかじめ決め、同じ経費が二重に計上されないように設定・運用しましょう。
経費精算システムと会計システムの連携設定が完了したら、本番運用を始める前に、テスト用のデータを使って正しく連携できるか確認しておくことをおすすめします。
具体的には、会計システムに仕訳データを連携した後、次の項目を確認します。
テストで問題がないことを確認してから本番運用を開始し、運用開始後もしばらくは連携された仕訳データを確認することで、設定ミスや連携上の不具合を早期に発見できます。
「経費BANK」は、SBIビジネス・ソリューションズが提供する中小企業向けのクラウド型経費精算システムです。
経費区分と勘定科目をあらかじめ紐づけて設定することで、申請内容に応じた仕訳データを自動で作成できます。作成した仕訳データは、勘定奉行シリーズや弥生会計をはじめ、さまざまな会計ソフトへ連携可能です。
CSV連携では、会計ソフトに合わせて出力データのレイアウトを調整できるため、既存の会計ソフトを変更せずに経費精算業務を効率化できます。
さらに、勘定奉行クラウドとのAPI連携にも対応しており、仕訳データだけでなく、領収書や請求書などの証憑データも連携できます。経費BANKで申請・承認された証憑を勘定奉行クラウドから直接閲覧できるため、会計処理後の証憑確認や照合作業もスムーズになります。
そのほか、AI-OCRによる領収書の読み取りや、電子帳簿保存法に対応した証憑の電子保存、インボイス制度に対応した登録番号の確認や仕入税額控除の判定、法人クレジットカードや交通系ICカードの利用履歴の取り込みなど、経費精算業務を効率化する機能を備えています。
※ご利用いただける機能は、契約内容やオプションの有無によって異なります。
最小10IDから利用でき、電話とメールで相談できるサポート窓口を無料で用意しているため、会計システムとの連携設定がはじめてでも導入しやすいサービスとなっています。
現在お使いの会計システムと連携できるかどうかなど、お気軽にお問い合わせください。
「経費BANK」の自動仕訳・会計ソフト連携機能について詳しくはこちら
経費精算システムは主に経費の申請・承認・精算を効率化するもので、会計システムは会社全体の会計情報を管理し、帳簿や決算書を作成するものです。
経費の申請件数が少なく、業務負担も小さい場合は、会計システムだけで運用できることもありますが、申請・承認や会計システムへの入力に手間がかかっている場合は、経費精算システムとの併用が効果的です。
両システムを連携させれば、会計システムへの転記作業や仕訳作成の負担を軽減でき、経理業務の効率化につながります。連携する際は、勘定科目の設定や計上日のルールなどを確認し、自社の運用に合った方法を選ぶことが大切です。
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監修:鳥光会計事務所 所長(税理士・中小企業診断士)
大学卒業後、税理士法人で実務経験を積み税理士資格を取得、その後に上場企業の財務経理部で決算業務・税務調査対応を中心に税務全般を担当。2019年に開業し、中小企業診断士の資格も取得。現在は上場企業から中小企業まで規模問わずサービスを提供している。
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